ゲームシナリオライターのポートフォリオには、「どのようなゲームシナリオを書けるか」「実際にどこまで制作できるか」が伝わる作品資料を載せます。プロフィールだけでなく、企画に合わせた文章力、キャラクターの会話、分岐や演出への理解が分かる内容を用意することが重要です。
ゲームシナリオライターのポートフォリオに載せる基本項目
まずは、次の項目をそろえると、採用担当者や依頼主が実力を判断しやすくなります。
- プロフィール
- 対応できるジャンルや得意分野
- 代表実績
- オリジナルのシナリオサンプル
- ゲーム向けの構成資料
- 担当範囲と制作経験
- 使用できるツールや対応形式
- 連絡先
すべてを長く説明する必要はありません。読む側が短時間で「この人に依頼したい仕事」を判断できるよう、代表作と得意分野を中心に整理します。
プロフィールにはゲーム制作に関係する情報を載せる
プロフィールでは、名前またはペンネーム、活動年数、対応できる業務を簡潔に記載します。一般的な自己紹介だけでなく、ゲームシナリオ制作で何ができるかを具体的に書くことが大切です。
- 活動年数や執筆本数
- 対応可能なジャンル
- 対応可能なターゲット層
- 得意な文章形式
- 企画、プロット、シナリオ、リライトの対応可否
- チーム制作やリモートでの対応経験
たとえば「ファンタジーが得意」とだけ書くよりも、「10代向けファンタジーのキャラクター会話と、選択肢による分岐シナリオが得意」のように、対象と作業内容まで示すほうが伝わります。
実績は担当範囲が分かるように書く
公開できる実績がある場合は、作品名だけでなく、自分がどの部分を担当したのかを明記します。ゲーム全体に関わったのか、一部のイベントだけを書いたのかで、読み手が評価できる内容は変わるためです。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 作品名 | 公開可能なゲームタイトル |
| 媒体 | スマートフォンゲーム、コンシューマーゲーム、ブラウザゲームなど |
| 担当 | メインシナリオ、イベントシナリオ、キャラクター設定、プロットなど |
| 担当範囲 | 全体構成、全10話のうち3話、会話パートのみなど |
| 公開時期 | 公開できる場合のみ記載 |
| 関連リンク | 公式サイトや公開ページなど、掲載許可のあるURL |
実績を公開できない場合は、無理に作品名を出す必要はありません。「非公開案件のため作品名は掲載不可」としたうえで、担当した業務の種類や分量だけを説明する方法があります。
オリジナルのシナリオサンプルを入れる
公開実績が少ない人や、守秘義務で実績を掲載できない人は、オリジナルのシナリオサンプルを用意します。ゲーム向けの文章力を判断してもらうには、短い文章でも場面や会話が伝わるサンプルが役立ちます。
サンプルには、次のような内容を組み合わせると、対応力を示しやすくなります。
- キャラクター同士の会話
- 感情が変化する場面
- 物語の導入
- 戦闘や探索の前後にあるイベント
- 選択肢によって展開が変わる場面
- 短いボイス台本
- 世界観や設定を説明する場面
小説の文章だけでは、ゲームシナリオに必要な会話のテンポや演出意図が分かりにくいことがあります。そのため、地の文だけでなく、セリフ、ト書き、場面転換などを含めた形式も用意するとよいでしょう。
サンプルに付けると伝わりやすい情報
作品本文の前に、次の情報を短く添えます。
- 想定ジャンル
- 対象年齢や読者層
- 作品のあらすじ
- 登場人物の関係
- このサンプルで見てほしい点
- 文字数や制作時間の目安
たとえば「10代向けの学園ファンタジー」「対立していた2人が協力する場面」「キャラクターの口調の違いを意識した」といった説明があると、文章の狙いを読み手が理解しやすくなります。
ゲーム特有の構成資料も載せる
ゲームシナリオライターには、文章を書く力だけでなく、ゲームの進行に合わせて物語を組み立てる力も求められます。そこで、シナリオ本文に加えて、ゲーム向けの構成資料を載せると強みを示せます。
掲載できる資料の例は次のとおりです。
- 章立てやエピソード構成
- キャラクター設定表
- 相関図
- イベントの進行表
- 選択肢と分岐の設計
- フローチャート
- ゲーム画面を想定した台本
- 演出や画面表示に関する指示
ただし、設定資料を載せるだけでは、文章力や構成力の評価につながりにくい場合があります。資料を掲載するなら、短いシナリオ本文と組み合わせ、「この構成をどのように文章化したか」まで見せると効果的です。
ゲームシナリオの形式に合わせたサンプルを作る
応募先や依頼内容が決まっている場合は、そのゲーム形式に近いサンプルを優先します。形式が違うと必要な技術も変わるためです。
| ゲーム形式 | 見せやすいサンプル |
|---|---|
| アドベンチャーゲーム | 会話、選択肢、分岐、イベントの進行 |
| スマートフォンゲーム | 短いイベント、キャラクター会話、継続的なエピソード |
| RPG | 世界観、クエスト、仲間との会話、戦闘前後のイベント |
| 乙女ゲーム | 恋愛対象との会話、感情の変化、ルート分岐 |
| ノベルゲーム | 長めの場面構成、心理描写、選択肢による展開 |
| 音声作品やボイスドラマ | セリフ中心の台本、演技を想定したト書き |
特定のジャンルに応募する場合でも、未経験の実績を経験済みのように書いてはいけません。実績がない形式は「自主制作サンプル」と明記し、対応できる範囲を正確に説明します。
得意ジャンルだけでなく対応できない内容も整理する
得意ジャンルを書くときは、ファンタジー、現代ドラマ、ミステリーなどの大分類だけでなく、どのような場面が得意かまで示します。
- テンポのよい掛け合い
- キャラクターの心理描写
- 伏線を含む長編構成
- 短いイベントシナリオ
- 感情を重視した恋愛描写
- 世界観や設定の整理
一方で、対応できない表現や経験のない業務がある場合は、必要に応じて明記します。できることを広く見せようとして、実際には対応できない分野まで断定すると、依頼後の行き違いにつながります。
制作環境や対応できる作業も記載する
ゲーム制作では、文章そのものだけでなく、指定フォーマットへの入力や修正対応が必要になることがあります。使用経験のあるツールや、対応可能な納品形式があれば記載します。
- Word、Googleドキュメントなどの文書作成ツール
- 表計算ソフトによる台本管理
- シナリオ管理ツール
- チャットやオンライン会議を使った連絡
- 指定フォーマットへの入力
- 赤入れやリライトへの対応
- 設定資料やプロットの作成
ツール名は、使ったことがあるものだけを記載します。未経験のツールについては、「指定ツールは要相談」のように、対応状況が分かる書き方にします。
実績がない場合は自主制作で構成力を見せる
未経験者や実績が少ない人は、商業実績の有無だけで判断されないように、自主制作のサンプルを作ります。重要なのは、作品数を増やすことよりも、応募したい仕事に合う内容を用意することです。
自主制作では、次のような1作品を作るとポートフォリオにまとめやすくなります。
- ゲームのジャンルと対象者を決める。
- 登場人物と物語の目的を設定する。
- 全体のあらすじとエピソード構成を作る。
- 会話、選択肢、分岐を含む短い場面を書く。
- ゲーム内での演出や進行を補足する。
- 自分の担当範囲と制作意図を説明する。
この方法なら、単なる文章サンプルではなく、ゲームの進行を考えてシナリオを設計できることを示せます。
載せてはいけない情報に注意する
実績を載せるときは、公開してよい情報かを必ず確認します。仕事で作成した文章や設定資料には、守秘義務や権利上の制限がある場合があります。
- 公開前のゲームタイトルや設定
- クライアントから提供された未公開資料
- 許可のない納品物の全文
- 社内チャットや制作画面のスクリーンショット
- 契約で公開が禁止されている実績情報
- 他人が書いた文章を自分のサンプルとして掲載すること
掲載許可がない場合は、作品名や本文を伏せ、公開可能な担当内容だけを記載します。判断できない場合は、契約書や発注者との取り決めを確認してから掲載してください。
読みやすいポートフォリオの構成例
ポートフォリオは、次の順番にすると、初めて見る人にも内容が伝わりやすくなります。
- 名前、プロフィール、連絡先
- 得意ジャンルと対応可能な業務
- 代表実績
- オリジナルのシナリオサンプル
- ゲーム向けの構成資料
- 制作環境や納品形式
- 補足事項
サンプルを複数載せる場合は、冒頭に目次を置き、「会話サンプル」「分岐サンプル」「プロットサンプル」のように分けます。読む側が必要な資料へすぐ移動できる構成にすると、作品の確認に時間をかけてもらいやすくなります。
応募先に合わせてポートフォリオを調整する
すべての応募先に同じポートフォリオを送るより、募集内容に合う実績やサンプルを先に見せるほうが、適性を伝えやすくなります。
- キャラクター重視の案件なら、会話と感情表現を前に出す
- RPG案件なら、世界観、クエスト、長編構成を示す
- 短編イベント案件なら、限られた文字数で展開する力を示す
- 分岐のある案件なら、選択肢と分岐後の展開を示す
- リライト案件なら、修正方針や対応できる作業を説明する
ポートフォリオを提出する前に、「募集されている業務に対応するサンプルがあるか」「担当範囲が分かるか」「公開できない情報が含まれていないか」を確認します。
ゲームシナリオライターのポートフォリオで大切なこと
ゲームシナリオライターのポートフォリオには、代表実績だけでなく、ゲーム向けの会話、構成、分岐、演出を確認できる資料を載せます。実績がない場合は、応募先に合う自主制作サンプルで補えます。
最初に、得意な仕事を一つ決め、その仕事に合うシナリオ本文と構成資料を用意すると、内容をまとめやすくなります。実績を載せる場合は、公開許可と担当範囲を確認し、事実と自主制作を混同させないことが重要です。







