ゲーム企画書は、作りたいゲームの魅力や遊び方、必要な制作内容を整理し、第三者に伝えるための資料です。初心者は、思いついたアイデアをいきなり長文にするのではなく、「誰に、どんな体験を、どのようなゲームで届けるのか」を先に決めると書きやすくなります。
企画書には決まった形式があるわけではありませんが、ゲームの概要、コンセプト、ゲームシステム、ターゲット、制作規模などを順番にまとめると、内容が伝わりやすくなります。
ゲーム企画書は「ゲームの内容と価値」を伝える資料
ゲーム企画書とは、ゲームのアイデアを具体化し、企画の目的や面白さを説明する資料です。自分の考えを整理するだけでなく、チームメンバーや会社、協力者に企画の内容を共有する役割もあります。
企画書を読んだ人が、次の点を理解できる状態を目指しましょう。
- どのようなゲームなのか
- 誰を対象にしているのか
- プレイヤーは何をして遊ぶのか
- どこが面白く、他のゲームと何が違うのか
- どの程度の規模や期間で作るのか
ストーリーや世界観だけが詳しくても、遊び方が分からなければゲーム企画として判断しにくくなります。初心者は、設定の説明よりも先に、プレイヤーの具体的な行動を説明すると企画書をまとめやすくなります。
初心者向けのゲーム企画書の基本構成
ゲーム企画書は、次の構成にすると内容を整理しやすくなります。すべての項目を長く書く必要はなく、企画の規模や提出先に応じて調整してください。
| 項目 | 書く内容 | 役割 |
|---|---|---|
| タイトル | ゲーム名や仮タイトル | 企画の内容を識別する |
| 企画概要 | ゲームの内容を短くまとめた説明 | 全体像をつかんでもらう |
| コンセプト | 誰にどんな体験を届けるか | 企画の中心を示す |
| ターゲット | 想定するプレイヤー | 対象者を明確にする |
| ゲームシステム | プレイヤーの行動やルール | 遊び方を伝える |
| ゲームの特徴 | 面白さや独自性 | 企画の魅力を示す |
| 世界観・ストーリー | 舞台設定や物語 | ゲームへの理解を深める |
| 画面・操作イメージ | 画面構成や操作方法 | 完成形を想像してもらう |
| 制作計画 | 人数、期間、使用環境など | 実現可能性を検討する |
タイトルと企画概要
タイトルには、正式名称が決まっていなければ仮タイトルを付けます。「仮タイトル」と書いておけば、後から変更する前提でも問題ありません。
企画概要は、ゲームの内容を数行で説明する部分です。ジャンル、プレイヤーの目的、特徴が分かるようにまとめます。
たとえば、次のように書けます。
「限られた時間で島を探索し、集めた素材で拠点を発展させる、1人用の探索アドベンチャーゲーム。探索する順番によって手に入る道具や結末が変化する。」
この説明だけで、ジャンル、目的、主な遊び方、特徴がある程度伝わります。
コンセプト
コンセプトは、ゲームの中心となる考え方です。「面白いゲームを作る」のような抽象的な表現ではなく、誰が、何をして、どのような気持ちになるゲームなのかを具体的に書きます。
コンセプトを考えるときは、次の形にすると整理しやすくなります。
- 対象:どのようなプレイヤー向けか
- 行動:プレイヤーは何をするのか
- 体験:何を感じたり、楽しんだりするのか
- 特徴:その体験をどのような仕組みで実現するのか
たとえば、「初心者でも遊べるゲーム」だけでは内容が広すぎます。「短時間で遊びたい人が、毎回異なるルートを選びながら探索の緊張感を楽しむゲーム」のように、対象と体験を具体化すると企画の軸が明確になります。
ターゲット
ターゲットには、想定するプレイヤーの年齢層、ゲーム経験、好み、遊ぶ場面などを書きます。年齢だけでなく、「短時間で遊べる作品を好む」「友人と協力して遊びたい」など、ゲームとの関わり方まで考えることが大切です。
ターゲットを決めると、ゲームの難易度、操作方法、1回のプレイ時間、画面デザインなどの判断基準ができます。ただし、実際のユーザーが必ずその通りに行動するとは限らないため、企画書では「想定ターゲット」として扱います。
ゲームシステムとプレイヤーの行動
ゲームシステムでは、プレイヤーがゲーム内で何をするのかを、順番に説明します。初心者が企画書を書くときは、設定や機能を並べるだけでなく、プレイ中の流れを書くと分かりやすくなります。
- プレイヤーがゲームを開始する
- ステージやマップを探索する
- 敵や障害を突破して素材を集める
- 集めた素材で装備や拠点を強化する
- 強化した状態で新しいエリアに挑戦する
このように、プレイヤーの行動を時系列で書くと、ゲームの基本ループが見えてきます。基本ループとは、ゲーム内で繰り返される一連の行動のことです。
ゲームの特徴と面白さ
特徴の項目では、企画の魅力を箇条書きにすると伝わりやすくなります。ただし、「斬新」「誰でも楽しめる」といった評価だけでは、具体的な内容が分かりません。
次のように、特徴と仕組みをセットで書きます。
- 探索する順番によって、入手できるアイテムとストーリーが変化する
- 1回のプレイを15分程度に区切り、短い時間でも進行を感じられる
- 失敗しても集めた情報が残り、次の挑戦に活用できる
特徴が複数ある場合は、特に重要なものを1〜3個程度に絞ると、企画の強みが伝わりやすくなります。機能を増やしすぎると、何が中心のゲームなのか分かりにくくなるため注意が必要です。
世界観とストーリー
世界観には、ゲームの舞台、時代、登場人物、社会の仕組みなどを書きます。ストーリーには、主人公の目的、対立する問題、ゲーム中に起きる出来事などをまとめます。
ただし、企画書の中心がアクションやパズルであれば、長い小説のような説明は必要ありません。ゲームシステムと関係する範囲で、プレイヤーがなぜ行動するのかを補足する程度にします。
画面イメージと操作方法
画面イメージでは、プレイ画面に何を表示するのかを説明します。たとえば、キャラクター、敵、体力、目的地、所持アイテムなどです。
絵を描くのが得意でなくても、四角形や矢印を使った簡単な画面ラフで構いません。重要なのは、完成度の高いイラストよりも、画面上の要素とプレイヤーの操作が分かることです。
- 画面のどこに重要な情報を表示するか
- プレイヤーは何のボタンや操作を使うか
- 操作によってゲーム内で何が起きるか
- 操作が難しくなりすぎないか
制作規模と計画
制作計画には、想定する対応機器、必要な人数、制作期間、必要な素材や技術などを書きます。正確な見積もりができない場合は、現時点の仮定として記載し、後で見直せるようにします。
特に重要なのは、企画の面白さだけでなく、実現できる規模かどうかを考えることです。広大なマップ、多数のキャラクター、複雑なオンライン機能を同時に盛り込むと、制作量が大きくなる可能性があります。
初心者の企画書では、まず最小限の内容で成立する形を考えるとよいでしょう。最小限の内容とは、そのゲームの中心となる遊びを確認できる規模のことです。
ゲーム企画書の書き方を5つの手順で解説
企画書は、思いついた順に書くよりも、ゲームの核を決めてから具体化すると作成しやすくなります。
1. ゲームの中心となる体験を一文で書く
最初に、プレイヤーにどのような体験を届けたいのかを一文で書きます。たとえば、「限られた資源をやりくりして危険な場所を進む緊張感を味わう」のように、プレイヤーの感情や行動を含めます。
この一文が決まると、不要な機能を追加しにくくなります。新しいアイデアを思いついたときも、中心の体験に役立つかどうかで採用を判断できます。
2. プレイヤーの基本ループを整理する
次に、プレイヤーが繰り返す行動を書き出します。「探索する」「戦う」「報酬を得る」「強化する」など、ゲームの進行に必要な行動を並べてください。
基本ループが成立していない場合は、世界観や機能を増やす前に、遊びの流れを見直します。プレイヤーが何を目標にし、行動の結果として何を得るのかを明確にすることが重要です。
3. ターゲットと遊ぶ場面を決める
誰に向けたゲームかを決め、プレイヤーがいつ、どのように遊ぶのかを考えます。自宅でじっくり遊ぶのか、移動中に短時間遊ぶのか、友人と一緒に遊ぶのかによって、適した設計は変わります。
ターゲットを決めるときは、次の項目をメモすると具体化しやすくなります。
- 想定年齢層
- ゲーム経験の有無
- 1回あたりのプレイ時間
- 1人用か複数人用か
- どのようなゲームや作品を好むか
4. 企画の特徴を絞り、画面や流れで示す
企画の特徴をいくつか挙げたら、中心となる要素を絞ります。そのうえで、画面ラフ、プレイの流れ、操作説明などを使って、文章だけでは伝わりにくい部分を補います。
たとえば、パズルゲームなら、ルール説明だけでなく「ブロックを動かすと何が起きるか」「クリア条件は何か」を簡単な図で示します。読者が実際に遊ぶ場面を想像できる資料にすると、企画の内容を確認しやすくなります。
5. 実現可能性を確認して企画書を整える
最後に、制作期間、人数、技術、素材、対応機器などを確認します。すべてを正確に決められなくても、現時点で分かる範囲の前提を明記してください。
次の点を確認すると、企画の無理な部分を見つけやすくなります。
- 中心となる遊びを試作できるか
- 必要な画面や機能が多すぎないか
- 想定する人数と期間で制作できそうか
- 使用する素材や技術を用意できるか
- 企画の特徴が、実際のゲームシステムに反映されているか
ゲーム企画書で伝わりにくくなりやすい書き方
初心者の企画書では、アイデアがあっても読み手がゲームをイメージできないことがあります。次のような書き方は、具体的な説明を加えて改善しましょう。
抽象的な言葉だけで面白さを説明する
「革新的」「今までにない」「誰でも楽しめる」といった言葉だけでは、どの仕組みが面白さにつながるのか分かりません。抽象的な表現を使う場合は、必ず具体的なルールやプレイヤーの行動を続けて書きます。
ストーリーや設定を詳しく書きすぎる
世界観の説明が長くなると、ゲームとして何をするのかが埋もれてしまいます。ストーリーは、プレイヤーの目的やゲームシステムを理解するために必要な部分を中心にまとめます。
機能を増やしすぎる
思いついた機能をすべて盛り込むと、企画の中心が分かりにくくなります。各機能について、「中心となる体験に必要か」「なくてもゲームが成立するか」を考え、優先順位を付けます。
ターゲットを広げすぎる
「子どもから大人まで」「初心者から上級者まで」のように対象を広くしすぎると、難易度や操作性の基準が決めにくくなります。最初は主な対象を絞り、必要に応じて他の層にも対応する形を考えます。
文章だけで説明する
ゲームは画面や操作を伴うため、文章だけでは理解しにくい場合があります。簡単な図、画面ラフ、操作の流れ、プレイサイクルを加えると、読み手が内容を確認しやすくなります。
提出前にゲーム企画書を確認するチェックリスト
完成した企画書は、次の質問に答えられるかを確認してください。
- どのようなゲームかを短い文章で説明できるか
- プレイヤーが最初に何をするか分かるか
- ゲームを繰り返し遊ぶ理由が説明されているか
- ターゲットとゲーム内容が合っているか
- 面白さが具体的なルールや仕組みで示されているか
- 他のゲームと違う点が分かるか
- 画面や操作方法をイメージできるか
- 制作規模や前提条件が明記されているか
- 説明の重複や、意味が分かりにくい言葉がないか
企画書を読んだ人に感想を聞ける場合は、「どんなゲームだと思ったか」「どこが面白そうに見えたか」「分からなかった部分はどこか」を確認すると、説明不足の箇所を見つけられます。
ゲーム企画書の書き方で最も大切なこと
初心者がゲーム企画書を書くときは、きれいな資料を作ることよりも、プレイヤーの行動とゲームの面白さを具体的に伝えることが大切です。
まずは、中心となる体験を一文で決め、プレイヤーの基本ループ、ターゲット、特徴、画面イメージの順に整理しましょう。その後で制作規模や必要な機能を確認すれば、アイデアだけで終わらず、実現方法まで考えた企画書に近づけられます。







