ゲームUIデザイナーになるには、ゲーム画面の見た目を整えるだけでなく、プレイヤーが迷わず操作できる画面を設計し、実際に制作できる力を身につける必要があります。特別な資格は必須ではありませんが、UI設計の知識、デザイン制作スキル、ゲームへの理解、作品をまとめたポートフォリオが重要です。
未経験から目指す場合は、ゲーム会社のUIデザイナー職に直接応募する方法のほか、Webデザイナーやグラフィックデザイナーとして経験を積んでから転職する方法もあります。
ゲームUIデザイナーとは
ゲームUIデザイナーとは、プレイヤーがゲームの情報を確認したり、操作したりする画面を設計・制作する仕事です。UIは「ユーザーインターフェース」の略で、プレイヤーとゲームをつなぐ画面や操作部分を指します。
具体的には、次のような制作を担当します。
- タイトル画面やメニュー画面
- 体力、スコア、残り時間などのゲーム中の表示
- アイテムや装備の一覧画面
- キャラクターやステージの選択画面
- チュートリアルや操作説明
- ボタン、アイコン、通知、ポップアップ
- 画面遷移や操作方法の設計
会社によっては、画面のレイアウトだけでなく、アイコンやバナーなどのグラフィック制作、画面の動きや演出の設計まで担当します。担当範囲は、コンシューマーゲーム、スマートフォンゲーム、PCゲームなどの種類や会社の体制によって異なります。
ゲームUIデザイナーになるための主な方法
ゲームUIデザイナーを目指す方法は、大きく分けて「学校で学んで新卒で応募する」「独学で作品を作って応募する」「他のデザイン職から転職する」の3つです。どの方法でも、最終的には制作スキルとポートフォリオが選考で重要になります。
専門学校や大学で学ぶ
ゲーム制作やデザインを学べる専門学校、大学などに進学すると、デザインの基礎からゲーム制作の流れまで体系的に学びやすくなります。授業やチーム制作を通じて、企画担当者やプログラマーと協力する経験を積める点も利点です。
学校を選ぶときは、名称だけで判断せず、次の点を確認してください。
- ゲームUIや画面設計を扱う授業があるか
- PhotoshopやIllustratorなどの制作ソフトを使うか
- ゲーム作品を制作する実習があるか
- 学生のポートフォリオを確認できるか
- ゲーム会社のUIデザイナー職への就職実績があるか
学校に通えば自動的に就職できるわけではありません。授業外でも作品を改善し、なぜその画面設計にしたのかを説明できるようにしておくことが大切です。
独学で制作して応募する
独学でも、ゲームUIデザイナーを目指すことは可能です。デザインソフトやUI制作ツールを使って画面を作り、作品をポートフォリオにまとめて応募します。
独学の場合は、次の順番で進めると取り組みやすくなります。
- ゲーム画面を観察し、メニューや情報表示の役割を整理する
- 色、文字、余白、配置などデザインの基礎を学ぶ
- 既存ゲームを参考に、画面の構成を分析する
- オリジナルのゲームを想定して画面を設計する
- 実際に操作できる試作品を作る
- 他の人に触ってもらい、分かりにくい部分を修正する
- 制作意図と改善点を含めてポートフォリオにまとめる
既存ゲームの画面をそのまま複製して、実績として公開するのは避けてください。分析用に参考にした場合は、どの点を研究し、自分の作品でどう応用したのかを説明できる形にします。
Webデザイナーやグラフィックデザイナーから転職する
すでにWebデザインやグラフィックデザインの経験がある人は、その経験を生かしてゲームUIデザイナーを目指せます。画面レイアウト、文字の見せ方、色の組み合わせ、画像制作などは、ゲームUIにも共通する基礎です。
ただし、Webサイトとゲームでは、画面の目的や操作の流れが異なります。転職を目指す場合は、次のようなゲーム特有の作品を追加すると、応募先との適性を示しやすくなります。
- ゲーム中の情報表示を含む画面
- メニューからプレイ画面までの画面遷移
- チュートリアルや初回操作の案内
- ゲームの世界観に合わせたアイコンやボタン
- 操作したときの状態変化やアニメーション
ゲームUIデザイナーに必要なスキル
必要なスキルは、見た目を作る「ビジュアルデザイン」と、使いやすい流れを考える「UI設計」の両方です。どちらか一方だけでは、ゲームUIの仕事に必要な力として不足する場合があります。
画面を設計する力
画面設計では、プレイヤーが今どの状態にいて、次に何をすればよいかを分かりやすく示します。ボタンの位置や大きさ、情報の優先順位、画面遷移などを考える力が必要です。
たとえば、ゲーム中に重要な情報を画面の見にくい場所へ置くと、プレイの妨げになる可能性があります。見た目がきれいかだけでなく、必要な情報をすぐ確認できるか、操作方法が直感的かを検討します。
グラフィックデザインの基礎
色、文字、形、余白、レイアウト、視線の誘導などの基礎は、ゲームUIの土台になります。ゲームのジャンルや世界観に合わせながら、読みやすさと雰囲気を両立させることが求められます。
ファンタジー、スポーツ、パズルなど、ゲームの内容によって適した表現は異なります。ただし、世界観を優先しすぎて文字が読みにくくなったり、ボタンの役割が分からなくなったりしないよう注意が必要です。
デザインソフトやUI制作ツールを使う力
求人で求められるソフトは会社によって異なりますが、画像編集やレイアウト制作に使うデザインソフト、UIの試作品を作るプロトタイピングツールなどを使えると制作の幅が広がります。
重要なのは、ソフトの名前を知っていることだけではありません。レイヤーやコンポーネントを整理し、修正しやすいデータを作ること、他の担当者に渡せる状態にすることも実務では大切です。
ゲームエンジンや実装への理解
ゲームUIデザイナーが必ずプログラミングを担当するとは限りません。しかし、ゲームエンジン上で画面がどのように表示され、どのような制約があるかを理解していると、実装担当者と連携しやすくなります。
画面サイズへの対応、ボタンの状態変化、文字の表示、画面遷移、アニメーションなどを意識して試作品を作ると、実務を想定したポートフォリオになります。
チームで伝える力
ゲーム制作では、企画、プログラマー、プランナー、アーティストなど複数の担当者が関わります。デザインの意図を説明し、仕様の変更やフィードバックを受けて修正する力も必要です。
ポートフォリオには完成画面だけでなく、「誰に何を伝える画面か」「なぜこの配置にしたか」「改善前と比べて何が変わったか」も記載すると、考え方を伝えやすくなります。
ポートフォリオに入れるべき内容
ゲームUIデザイナーのポートフォリオでは、完成した画像だけでなく、画面を設計した過程と判断理由を示すことが重要です。採用担当者が、実際の制作でどのように考えて動けるかを確認できるようにします。
1作品につき、次の内容を整理すると伝わりやすくなります。
- 想定したゲームのジャンルと対象ユーザー
- 画面の目的
- プレイヤーが行う操作
- 画面遷移の流れ
- 情報の優先順位
- 色、文字、アイコンなどのデザイン方針
- 制作に使ったソフトやツール
- 改善前と改善後の違い
- 制作期間と自分が担当した範囲
作品数を増やすことだけを目標にする必要はありません。画面の種類が異なる複数の作品を用意し、それぞれで違う設計力を示すほうが、制作内容を伝えやすくなります。
未経験から目指すときの進め方
未経験からの場合は、学習だけを続けるのではなく、早い段階から小さな作品を作って改善することが大切です。次の流れで進めると、応募に必要な準備を整理できます。
- 目指す求人を確認する。ゲームUIデザイナー、2Dデザイナー、UIアーティストなどの求人を見て、必要なソフトや経験を整理します。
- デザインの基礎を学ぶ。色、文字、レイアウト、視認性、ユーザーの操作の流れを学びます。
- ゲーム画面を分析する。メニュー、戦闘画面、ショップ、チュートリアルなどに分け、情報の配置と操作の流れを記録します。
- オリジナル作品を制作する。画面単体だけでなく、複数画面の遷移やボタンの状態も設計します。
- 操作して検証する。自分以外の人にも触ってもらい、説明なしで操作できるか、情報を見落とさないかを確認します。
- ポートフォリオを作る。完成画像、設計意図、制作過程、担当範囲をまとめます。
- 応募先に合わせて作品を見直す。スマートフォン向け、コンシューマー向けなど、応募先のゲームに合う作品を前面に出します。
求人の職種名が「UIデザイナー」ではなく、「ゲームデザイナー」「2Dデザイナー」「グラフィックデザイナー」などになっていることもあります。仕事内容にゲーム画面の設計や制作が含まれるかを、職種名だけでなく募集内容で確認してください。
資格は必要?
ゲームUIデザイナーになるために、必須の国家資格などはありません。資格を取得しただけで採用されるわけではなく、実際に画面を設計・制作できることを示す作品のほうが重視されやすい職種です。
ただし、色彩、デザイン、画像編集などを学ぶ過程で資格試験を利用することはできます。資格を取得する場合も、学んだ内容を作品制作に反映し、ポートフォリオで説明できる状態にすることが大切です。
ゲームUIデザイナーに向いている人
ゲームが好きなことは強みになりますが、ゲームをプレイするだけで十分とは限りません。画面を観察し、プレイヤーの行動や分かりにくさを考えられる人が向いています。
- ゲームの画面構成や操作方法を観察するのが好き
- 情報を整理して、分かりやすく見せることが得意
- 見た目だけでなく使いやすさも考えられる
- 他の担当者の意見を受けて改善できる
- 細かな調整を繰り返せる
- ゲームの世界観をデザインに反映できる
絵が得意であることは役立ちますが、必ずしもキャラクターイラストが得意でなければならないわけではありません。情報設計や画面の使いやすさを考える力も、ゲームUIデザイナーの重要な能力です。
応募前に確認したいポイント
応募前には、求人票で担当業務と必要なスキルを確認してください。同じゲームUIデザイナーという名称でも、画面設計が中心の求人、アイコンやバナー制作が中心の求人、ゲームエンジンへの組み込みまで含む求人があります。
- 担当するゲームの種類
- UI設計とグラフィック制作の比重
- 使用するデザインソフトやゲームエンジン
- 必要な実務経験や応募条件
- ポートフォリオの提出形式
- チーム内で担当する範囲
自分の経験が募集条件に完全に一致しない場合でも、未経験可、ポテンシャル採用、アシスタント業務などの条件があれば応募できる可能性があります。一方で、経験年数や特定ツールの使用経験が必須と書かれている場合は、その条件を満たせるかを確認してから応募しましょう。
ゲームUIデザイナーになるには、まず作品を作る
ゲームUIデザイナーになるには、資格取得だけを目標にするのではなく、ゲーム画面を設計して制作し、使いやすさを検証した作品をポートフォリオにまとめることが近道です。
まずは求人を確認して必要なスキルを把握し、ゲームの画面遷移を含むオリジナル作品を1つ作ってください。そのうえで、デザインの意図と改善内容を説明できるようにすると、未経験からでも自分の力を示しやすくなります。







